Jun 30, 2011
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【ハノイ西尾英之、矢野純一】ベトナムのグエン・スアン・フック副首相が25日の毎日新聞との会見で「(今月30日からの)ズン首相訪日時に原子力発電所建設に関する合意が結ばれる」と述べた背景には、毎年5%から8%台と高い実質経済成長率を維持しつつ、投資先を中国から移転させる「中国プラス1」として、中国に次ぐ世界の工場を目指す中で、電力不足が外国からの企業誘致のネックになっていることへの危機感がある。
ベトナムへ進出している日本企業には2通りある。円高などで日本から直接製造拠点を移す企業と、近隣国の中国やタイに進出したものの、人件費の高騰や政治的な不安定さなどからベトナムへ拠点の一部を移す企業だ。タイ中部の工業団地が軒並み洪水被害を受け生産停止が長期に及ぶのが確実な情勢の中、今後ベトナムへの移転を検討する企業が出てくるのは間違いない。
しかしベトナムでは毎年15%も電力消費が伸びながら、天候に左右される水力発電に発電量のほぼ半分を依存。昨年は工業団地でも1日2時間以上の計画停電が実施された。
政府は5年ごとの電源開発計画を立てているが、資金不足から06〜10年の計画達成率は7割に過ぎず、外資呼び込みなど国の成長維持のためには電源開発が喫緊の課題だ。
ベトナムは豊富で優秀な労働力と人件費の安さを武器に外資の呼び込みを図る。東南アジア諸国連合(ASEAN)の中で3番目に多い8800万の人口で、平均年齢は27・8歳。ハノイとホーチミン市の最低賃金は月約80ドル(約6080円)と、タイのバンコクの半分以下だ。
ベトナムへの進出企業数が最も多い台湾の帳文忠・駐ハノイ台北経済文化代表部1等書記官は「安い労働力と、07年の世界貿易機関(WTO)加盟で、信用力が増して投資が急増している」と話す。
電力不足以外の課題は依然未整備の国内輸送網などのインフラ整備や、はびこる汚職の排除だ。
日本貿易振興機構(JETRO)の山岡寛和ハノイ事務所長は「今後必要な巨額のインフラ整備は外資だけでは難しく、国民に税金という形で負担してもらうしかないが、共産党は国民から税金を取る経験がない」と指摘した。
フック副首相は、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加については、「検討している段階」と述べ、慎重な姿勢に転じた。特に、農業分野への影響について、「微妙な問題」と懸念を示した。
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【ハノイ西尾英之、矢野純一】ベトナムのグエン・スアン・フック副首相は25日、ハノイの首相府で毎日新聞の成田淳・東京本社編集編成局長とのインタビューに応じ、ベトナム南部ニントゥアン省に日本の技術で計画している原子力発電所2基の建設について、事実上のゴーサインとなる日本側との政府間合意を締結する方針を初めて明らかにした。ただ、東京電力福島第1原発事故に伴う放射性物質の拡散が次々と判明するなど被害状況が不透明な中での原発輸出再開となるだけに、日本国内には抵抗感も強い。
ズン首相が今月30日から訪日し、その際に締結するという。
2基の建設計画を巡っては菅直人首相(当時)が昨年10月に訪越した際、「建設は日本をパートナーとする」基本方針を確認した。3月の東京電力福島第1原発事故後もベトナムは日本の技術導入に積極姿勢を示していたが、政府間の正式な合意はなかった。
ベトナムは基本方針の確認を受け、日本政府に対し安全性が確認されている先端技術の導入、核廃棄物の処理方法など6条件を満たすよう求め、日本側は順次克服してきた。
最後まで残った建設資金の原資となるベトナム政府への低利融資についても、双方が合意に達したとみられ、建設のハードルとなっていたすべての問題が解決したとみられる。
フック副首相は「越日両国は戦略的パートナーシップを結んでいる。(福島の)予想外の事故はあったが、両国の(原発協力に関する)関係に変わりはない」と強調した。
ベトナムは2030年までに原発を8カ所計14基建設、稼働させる計画。うちニントゥアン省には2カ所に2基ずつ建設し、第1期の2基は既にロシアが受注した。今回、21〜22年にかけて稼働させる2期分の2基で合意締結の運びとなる。
菅氏訪越時に合意したレアアースの共同開発方針について副首相は「わが国には大量のレアアースが存在する。規模や開発場所、開発方法などについての問題が残っており、長期的な事業として進めたい」と語った。
また、日本の援助による新幹線の建設構想について、国会は昨年「財源の確保が不十分」として承認を見送ったが、副首相は「計画を国会に再提案し、国会の承認を得られれば日本側に伝えたい」との姿勢を示した。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)参加については「国内の農業分野に影響を与える問題であり、交渉に参加するか検討している段階」と述べるにとどめた。
フック副首相は政府官房長官を経て今年8月副首相に就任。4人いる副首相の筆頭格で、共産党最高指導部である政治局の局員。今回の取材は、毎日新聞ベトナム訪問団(団長・朝比奈豊社長)の要請に応えた。やまぐちりく
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